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ワールドワイドでSMBを考えてみよう会
プロフィール
SMBという巨大な市場について考える
ありとあらゆるSMBに関連することを、アナリスト、メディア、ジャーナリスト、IT関連の方々と情報、意見交換などをしませんか?
IT製品はフラット化している。共通部品、技術を用いての製品化になるため、差別化要素は少なく、大体が価格勝負になってしまう。
一方企業用途のITは、製品だけの要素のような一本調子で売れない。そこには開発とサポートが不可欠になる。そのため終始中堅・中小企業のITは国産ベンダが優位に展開している。NEC、富士通、かつての三菱電機、東芝、日立もそうだ。 メーカシェアは販売チャネルの構築、充実が必須だ。販売チャネルが弱ければメーカシェアを高めることは難しい。そしてサポートするための要員、拠点も必要になる。しかしユーザ企業が多くなければ、サポート拠点も維持できない。しかしサポート力が弱ければユーザに満足してもらえない。 つまり逆に言えばサポートの充実、既存ユーザの存在、販売チャネルが販売する、メーカが競争力のある製品を作る、メーカシェアを高めるになる。この正の連鎖を得るためにメーカはどうすべきか。あるいは、退くこともありえる。 中堅・中小企業のサーバ市場は、NECと富士通の2社が圧倒的な導入実績でしのぎを削っている。オフコン時代からの両雄であり、富士通の最近の攻撃的な価格、製品そしてチャネル展開が、NECの矜持に火をつけたかもしれない。この2社が盛り上げる中堅・中小企業市場に期待したい。
日銀の短観も本日発表になったが、ノークリサーチでも期せずしてSMB短観を発表した。その内容は当然ながら見事にシンクロした結果になっている。光は見えないこともないが、不確定要素満載の実態だ。以下、テキストと、PDFをご参照願いたい。
########## ノーク伊嶋のSMB短観 09年秋冬版 Vol.009 09年秋冬のSMBのIT指標 経済環境や税制改正の影響で中堅・中小のIT投資は再び厳しい状況へ ▼2009年5月から続いた回復基調は2009年11月には一転して再び下降 ▼全ての業種と年商帯において、今後のIT投資意欲は概ね抑制の傾向 ▼IT導入を支援する優遇税制の期限切れなどの影響は懸念材料の一つ ▼大企業におけるIT投資回復が中堅・中小に伝播するのは来年5月以降 ▼より少ないコストと短い期間で業績改善に直結する提案が求められる SMBのIT投資天気予報 2009年5月から続いた回復基調から再び下降へ 以下は2009年12月以降のIT投資予算額が2009年8月〜2009年11月と比べてどれだけ増減するかを尋ね、その結果を天気図として表したものである。「増える」「同程度」「減る」の三段階の設問とし、「増える」と「減る」の差で「IT投資意欲指数(IT投資DI)」を算出し、五段階のIT天気予報として指標化している。各欄に記載された数値のうち、矢印左側は前回調査(2009年8月)、矢印右側は今回調査(2009年11月)におけるIT投資DIを表している。 2009年5月、2009年8月の過去二回の調査ではIT投資DIの値そのものは依然マイナスであるものの、前回調査時点からの回復が進む傾向が続いていた。しかし、今回の2009年12月時点では再び下降へと転じる厳しい状況となった。以降のページでは年商別/業種別にIT投資DIと合わせて経常利益DI(前回調査時点と比較した場合の経常利益の変化を「増える」「同程度」「減る」の三段階の設問とし、「増える」と「減る」の差で指標化したもの)の時系列変化を分析している。 業種別の業績&IT投資傾向 経済環境変化の影響で全般的にIT投資は再び抑制へ 以下のグラフは2009年2月から2009年11月までのIT投資DIと経常利益DIの変化を業種別に表したものである。 IT投資DI、経常利益DIいずれも2009年8月まではプラスの値に向かって回復が進んでいたが、2009年11月時点では再び下降へと転じている。大企業では製造業を中心に回復の兆しが見られるものの、急激な円高やデフレといったマイナス要因も作用し、経済環境変化の影響を受けやすい中堅・中小企業の業績が煽りを受けた状況といえる。 流通業は他業種と異なり経常利益DIが2009年8月時点では下降し、2009年11月には上昇に転じている。この主な要因は原油高騰が落ち着いたことなどによって運輸業が若干持ち直した点が作用している。同業種においてIT投資DIが下降していることからもわかるように今後のIT投資に結び付く動きとは言い難い。 また小売業はエコポイントや地上デジタルテレビへの移行などといった消費刺激策が下支えし、2008年8月までの経常利益DIの回復基調がやや弱かったものの、下半期全体を通じた下落も小幅に留まっている。ポイントサービスの拡充などによる差別化などで消費者の獲得競争が今後激化することもあり、2008年8月時点と2009月12月時点を比較した時のIT投資DIは主要な業種の中で若干ではあるが唯一上昇している。 今後、どの業種のIT投資がいち早く回復するか?については為替や物価といった経済全体の行方が大きく左右する。ただし、円高やデフレに歯止めがかかり、大企業では兆しが見え始めている回復が中堅・中小企業にまで伝播するには時間がかかる。2009年8月時点で予想された2010年2月(次回調査)時点でのIT投資DIプラス転向は次々回の2010年5月以降まで遅れる可能性が高まってきた。 年商別の業績&IT投資傾向 年商帯によって異なるニーズに応じた支援が必要 以下のグラフは2009年2月から2009年11月までのIT投資DIと経常利益DIの変化を年商別に表したものである。(年商5億円未満については2009年5月以降より調査対象に追加)業種別の傾向と同様に、いずれの年商帯においてもIT投資DIと経常利益DIが2009年11月時点で下降に転じている。経常利益DIに関しては全年商帯において同じ値へと収束しており、企業規模によらない経済環境全体の影響が強いことを示唆している。 年商5億円未満の経常利益DIについては2009年12月時点で若干の上昇が見られるが、経常利益DI値そのものが低い値で推移しており、むしろ厳しい状況には何ら変化がないと見るべきである。年商50億円〜100億円のユーザ企業は経済環境変化に特に敏感に反応しやすい。そのため、2009年8月までのIT投資動向で強い回復基調を示した半面、2009年11月時点の下落幅も他の年商帯と比べて大きくなっている。それと比較すると、年商100億円〜500億円のユーザ企業では2009年11月時点のIT投資DIの下落幅がやや小さい。中堅・中小の上位年商帯においては、大企業でのIT投資回復の兆しが徐々に伝播しつつある状況と推測される。 今回の結果は政権交代後、経済面での明確な成長戦略が描き出されていないことも大きく影響していると考えられる。また、2010年3月に期限を迎える「中小企業投資促進税制」や「情報基盤強化税制」の延長が認められない可能性が高いことや、中小企業法人税の減税見送りといった中小企業に対する税制面での優遇策がなくなることから、ユーザ企業のIT投資へのマインドがさらに冷え込む恐れもある。しかしながら、こうした厳しい局面においてIT活用による打開策を求める潜在ニーズは依然として存在する。ユーザ企業の業務改善に直結し、低いコストと短い期間で目に見える結果が出せるソリューション提供の更なる工夫が求められる局面であるといえる。
満たされたIT環境のなかで、本当に必要な、無くてはならないITとは何かを問われると、特に思いつかない中堅・中小企業が多い。この動きを別の面で後押しするのが「クラウドコンピューティング」だ。「所有から利用へ」のパラダイムシフトが現状の理にかなった選択に思われるようになっている。
デフレスパイラルが最近のキーワードとして頻繁に取り上げられているが、ITについては「アンチ購入スパイラル現象」が巻き起こっている。景気が悪い→投資に回せない→ITは一応揃っている→今のままでなんとかなる→利用するという選択もある。 クラウドのブーム感は、いつのまにやら本格的に「持たないIT、利用するIT」へシフトしてしまうかもしれない現実感が日増しに高まっている。結局ITの目的は導入することではないので、企業にとって良いツールとなって利用できば十分である。 中堅・中小企業でも「自前で持たなくて良いITと持つべきIT」をきちんと理解できるようになれば、この先IT市場の、この構成比が逆転する可能性は高い。すべてをクラウドにという煽りは言い過ぎだが、それでも確実に少なくない割合でアプリケーションやサポートはクラウドに持っていかれることは確実だ。
ほぼ同時期にNECと富士通は有力系列全国販売店を完全子会社化することになった。
中堅・中小企業への舵取りを明確にするために、自社系列の流通チャネルのガバナンスを利かせてPCサーバを中心とする自社印の製品の拡販をしなくてはいけない。ハードベンダたるものの矜持もさることながら、やはりメーカシェアを高めなくてはいけない。ハードを売らなくてはいけない。 富士通は富士通ビジネスシステムだ。もともと通信工事の会社だったが、資本参加して富士通興業となり、東証一部上場企業になっていることはご存知の通り。一方のNECネサソリューションズは日本電気から日本電気情報サービスとして独立した会社が中核になり、後に日本電気ビジネスシステム、NECテクノサービス、日本電気オフィスシステム、日本電気コンピュータシステムを吸収した企業である。 しかしいずれもかつて汎用機や大型オフコンなどの中堅企業以上を中心に展開していた(得意な)販売店だ。今回の中堅企業から下のゾーンへの役割分担は、両者にとって大きな変化を求められていることになるわけだ。 NEC、富士通両者はともにチャネル構造は共通した部分が多い。系列の全国販売店もあるし、地場の販売店も多い。そのためメーカと直取引をしている販売店が多い。今後、メーカと販売店の間にFJBやNECネクサソリューションズのようなホールセラーが挿入されることによる、既存チャネルとの軋轢は大丈夫なのか、あるいは任されることになったFJBやNECネクサは今までの事業継続がスムースにできるのか、関係者の話だと不安は少なくないようだ。 両雄が再びオフコン時代さながらにがっぷり四つに組んだ苛烈な販売合戦となるのか?しかしオフコン時代との市況の違いはいかんともしがたい。ただし中堅・中小企業にもっとも多くの既存ユーザを持っているのは、この2社であることは間違いない。
メディアの公平性や平等性ということについては、幻想に過ぎないことは以前にも書いたが、その延長線にあるのが記者発表モノについての意味である。
企業が意図を持って記者会見を行うことそのものが、企業固有の恣意によるものであり、それをせっせとメディアに載せることに公平性や平等性を臨むべくもない。 ならば地方の企業の苦労話や中小企業の新規事業紹介などを「探して取材して取り上げる」ということが、大企業だけでなく中堅・中小企業も同じ分量の誌面構成にする、なんてことはあり得ない。 それにしても記者会見もので毎日誌面を作るメディアは、どの記事も同じで、つまらない。と、感じるのは仕方ないことなのか?業界メディアというものの限界、もしくは「ビューを稼げない=広告取れない」ということか。SMBじゃやはり稼げないのかな・・。
SMB短観09年春版を6月10日にリリースした。ハイライトである、IT投資DIはマイナスであるのは変わらないが、総じて改善の兆しである。
昨日のPCサーバに引き続きのリリースですが、ご参考にしてください。 以下リリーステキスト全文です。########### PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2009年6月10日 ノーク伊嶋のSMB短観 09年春版 Vol.007 09年春のSMBのIT指標 株式会社ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1 東京芸術センター1705:代表伊嶋謙ニ03-5244-6691URL:http//www.norkresearch.co.jp)では、第7回目のSMB市場に対する市場展望を行った。 今回の「SMB短観」は、09年春季の「業種別および年商別のIT投資意欲」や「今後重視したいIT関連投資項目」などについてアンケート調査を実施し、1000社の回答結果の速報をまとめたものである(09年5月実施)。今後も、SMB市場に関する様々な定点観測や専門的な分析を継続的に行い、四半期毎に発表する(毎年2月、5月、8月、11月に発行予定)。 IT投資意欲は改善の兆し、初期負担を抑えた経営視点での提案整備が急務 ▼IT投資指数は依然大幅なマイナスだが、値そのものは徐々に改善の方向へ ▼全ての年商区分において改善がみられるが、業種によって大きな差異あり ▼投資対効果や選定妥当性など、経営視点での判断を支援する施策が必要 ▼新規IT投資促進では三つの施策のバランスと初期負担軽減の工夫をすべし ▼J-SaaSはまだ初期段階、業績向上に直結するサービス提供を行えるかがカギ 【SMBアンケート調査概要】 ▼調査対象;年商500億円未満の企業▼調査方法;Webアンケート▼有効回答数;1000社▼調査日程;2009年5月中旬 ノークリサーチでは中堅・中小企業向け市場(SMB=Small&Medium Business)を『年商5億円以上500億円未満の民間企業』と定義している。 さらに年商クラスによってセグメントを行い「中堅Hクラス(年商300億円以上~500億円未満)」、「中堅Mクラス(年商100億円以上〜300億円未満)」、「中堅Lクラス(年商50億円以上〜100億円未満)」、「中小企業クラス(年商5億円以上〜50億円未満)」の4つのカテゴリに分類している。 (今回は年商5億円未満の「小規模企業クラス」も対象に加えている) Data1. SMB-IT天気予報 IT投資Data1. SMB-IT天気予報指数は依然マイナスだが、値そのものは改善 以下は2009年6月以降のIT投資予算額が2009年2月〜2009年5月と比べてどれだけ増減するかを尋ね、その結果を天気図として表したものである。「増える」「同程度」「減る」の三段階の質問を行い、「増える」と「減る」の差で「IT投資意欲指数(IT投資DI)」を算出し、五段階のIT天気予報として指標化している。各欄に記載された数値のうち、矢印左側は前回調査(2009年2月)、矢印右側は今回調査(2009年5月)におけるIT投資DIを表している。 前回(2009年2月)と変わらずIT投資DIは大幅なマイナスとなっており、全年商/全業種において雨の状態が続いている。 しかし値を良く見ると、全ての年商区分において前回よりも改善していることがわかる。一方、業種区分で見た場合は改善しているものとしていないものの差が大きく表れている。 Data2. 主要なDI値の変化 経常利益DI/IT投資DIいずれも業種に大きく依存 企業のIT投資意向を測る際、IT投資DIと並んで重要な指標が経常利益DIである。経常利益DIは所定期間内における経常利益の増減を「増えた」「同じ程度」「減った」の三段階で尋ね、「増えた」と「減った」の差を算出したものである。 以下はIT投資DIと経常利益DIの変化値(今回調査と前回調査の差)を年商区分と業種区分でそれぞれプロットしたものである。 前回調査のIT投資DI定義: 2009年4月以降と2008年9月〜2009年3月を比較した場合のIT投資の増減 前回調査の経常利益DI定義: 2008年11月時点と2009年2月時点を比較した場合の経常利益の増減 今回調査のIT投資DI定義: 2009年6月以降と2009年2月〜2009年5月を比較した場合のIT投資の増減 今回調査の経常利益DI定義: 2009年2月時点と2009年5月時点を比較した場合の経常利益の増減 いずれの年商区分でもIT投資DIと経常利益DIの双方で改善がみられる。特に各年商区分年商50億円以上〜100億円未満の中堅Lクラスでは大幅な改善が見られる。この年商帯は変化に即応できる機敏さと不況下において持ちこたえる体力とのバランスという観点から比較的変化に反応しやすいと考えられる。 組立製造業、流通業、卸売業、建設業についてはIT投資DIと経常利益DIの双方で改善がみられる。ただし、組立製造業のうち、輸送用機械器具製造業に関しては経常利益DIは改善しているものの、IT投資DIは前回よりも悪化している。これは自動車産業不振による投資抑制が今後も続くとの見通しが強いことを反映したものと推測される。 加工製造業の経常利益DIは改善しているが、IT投資DIはやや悪化している。前回IT投資DIがかろうじてプラスであった印刷関連業が今回はマイナスに転じたことが影響している。当面、宣伝・広告費の急速な回復は見込めないことなどを踏まえ、同業種では投資引き締めが強まったものと推測される。サービス業や小売業は消費低迷の影響を受け、IT投資DIと経常利益DIともに改善の兆候はまだ見えていない。IT関連サービス業も業績が厳しい点では変わりないが、一般サービス業と比較すると自社に不可欠なIT投資を凍結できる期間が短い。そのためIT投資DIの悪化が起きづらいものと考えられる。 Data3. 経営とITとの距離感 経営視点でIT活用判断を下すための支援が必要 企業経営におけるITの関わり方を尋ねた結果が以下のグラフである。年商50億円未満の小規模企業クラスおよび中小企業クラスでは経営層がIT活用に直接的に関与する比率が高いことがわかる。一方、年商50億円以上の中堅企業クラスではITを経営と直接関係しないツールと捉え、情報システム担当/部門の裁量が大きくなっている。 会社組織が小さいうちは経営層がITも含めたあらゆる決断に関与するが、規模が大きくなるにつれて役割分担が明確になっていく。その過程において、経営層がIT活用から縁遠くなっていくものと推測される。 以下のグラフはIT活用における阻害要因について尋ねた結果である。「コストが予算に見合わない」と並んで「費用対効果を適切に測ることができない」が多く挙げられている。中堅・中小企業においても経営層と情報システム担当/部門はあまり接触がなく、経営視点でIT活用の必要性を説明できる人材の育成も進んでいない。このことは「必要となる人材が社内にいない」「自社の選択が妥当なものであったかどうかを客観的に判断する手段がない」が多く挙げられていることからも裏付けられる。 上記二つの結果を踏まえると、「経営視点でITを捉える素地がないために、IT活用において適切な判断ができない」という姿が浮かび上がってくる。ITを提供する側としては、ユーザ企業が適切な判断を下せるための様々なサポート施策を講じることが現状の打開策となる。販売時の十分な情報提供といった売るための施策だけではなく、一定期間人材を派遣しユーザを教育するなどのより踏み込んだ支援も、場合によっては検討する価値がある。 Data4. 新規IT投資予算の捻出 施策のバランスを考え、初期負担軽減の工夫を 中堅・中小企業においても、IT予算の多くが現状のIT資産の維持コストに充てられている。そうした状況の中、ユーザ企業がどのようにして新規IT投資のための予算を捻出しているかを尋ねた結果が以下のグラフである。 「既存IT資産の改変によって同等の効果を得る」「少額の予算内で小規模投資を少しずつ実践する」「コスト削減施策を実施し、得られた削減額を原資とする」の三つが比較的多く挙げられており、三つの比率はほぼ同程度となっている。したがって、ITを提供する側としてはユーザ企業の予算やニーズに応じ、この三つをバランスよく織り交ぜることが求められてくる。 特に重要なのは三番目の項目だ。2008年後半から2009初頭にかけてはユーザ企業の施策はコスト削減一辺倒であった。 しかし、2009年度に入ってからは業績を改善することの重要性が訴えられるようになり、コスト削減で得られた原資が徐々に新規投資へと向かい始める傾向がIT投資DIの変化からも見てとれる。コスト削減と業績改善をセットにして収益拡大を実現するソリューションが今後も重要視されると予想される。 IT投資DIや経常利益DIが改善しつつあるとはいえ、ユーザ企業を取り巻く経済環境が厳しいことに何ら変わりはない。 そこでポイントとなるのが「ユーザ企業の初期投資負担をいかに軽減するか」ということである。以下のグラフは新規IT投資に際して望ましいと思われる支援策をユーザ企業に尋ねた結果である。「リースやレンタルの利用」「成功報酬型の課金」といったように、初期投資負担を平準化する施策が上位を占めていることがわかる。 また、「共同利用の仕組み」も比較的高い関心を集めている。現在はXaaSなどのシステム視点での共同利用に注目が集まっているが、独自システムを嗜好する傾向の強い日本企業の特性やデータセキュリティの観点が障壁となっている。 一方、業務視点での共同利用においては金融業の勘定系システムなどで従来から共同利用が進んでいる。システムの視点だけにとらわれず、業種・業務の視点での共同利用という視点も検討する価値があるのではないかと考えられる。 Data5. J-SaaSの現状 J-SaaSは認知度/利用度いずれもまだこれから 「J-SaaS」とは経済産業省の主導によって運用されているSaaS形態のサービスである。中小企業を対象に各種の業務アプリケーションを提供している。2009年3月末にサービスを開始し、国策としてのSaaSということで注目を集めている。 ユーザ企業にJ-SaaSの認知や活用状況を尋ねた結果が以下のグラフである。認知度は最も高い従業員数帯でも約30%に留まっており、まだ多く知られていない状況であることがわかる。J-SaaSが主な対象としている20人未満の従業員数帯でも認知度が16.0%となっており、従業員数の少ないユーザ企業に対する更なる啓蒙活動が必要となっている。 実際に活用をしている割合は最も高い従業員数帯でも4.0%となっており、ごく一部のユーザ企業のみに留まっている。 J-SaaSを既に知っているユーザに「J-SaaSを知ったきっかけ」を尋ねた結果が左のグラフである。「Webサイトや雑誌のニュースで」が突出して高いことがわかる。 一方、商工会議所や社労士といったアナログの情報伝達手段を経由したケースは少ない。つまり、日頃からIT関連の情報収集を行っている層には訴求できているが、ITへの関心が薄い層にはリーチできていないといえる。本来、そうした非IT層へのサービス提供がJ-SaaSの目的の一つである。 中小企業を対象としたSaaSビジネスの初期段階では人手による地道な顧客開拓が欠かせない。販売や紹介に際してのインセンティブ制度なども含め、「J-SaaSを薦める立場にとってのメリット」を考慮した施策が求められる。 J-SaaSを知っているが利用はしていない企業に「J-SaaSを活用しない理由」を尋ねた結果が右のグラフである。 「必要なアプリケーションが提供されていない」という回答が最も高い比率を占めている。 現在、J-SaaSでは財務会計、給与計算などの業務アプリケーションが提供されている。しかし社員数の少ない中小企業の場合、この種のバックオフィス業務はスプレッドシートや安価なパッケージソフトウェアでもカバーできてしまう。 「業務改善につながるアプリケーションがない」という回答が二番目に多いことからもわかるようにユーザ企業が求めているのはビジネス向上に直結するアプリケーションである。参加企業同士が原材料や製品を取引したり、サービスや製品を共同で訴求したり、顧客を紹介しあったりといった、「参加企業同士が集まっていることを生かした仕組み」を作ることが重要ではないかと考えられる。
08年度-09年度のPCサーバ国内出荷状況調査をリリースしたので、ご紹介する。数年停滞が続いていたPCサーバ市場が、6年ぶりにマイナス成長になった。09年度も同じく好転の明確な兆しはまだ見えない。
以下リリース文を掲載したので参考になれば幸いです。 PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2009年6月9日 08/09年度 PCサーバ国内出荷調査報告 ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1 東京芸術センター1705:代表伊嶋謙ニ03-5244-6691URL:http//www.norkresearch.co.jp)では2008年度の国内PCサーバの出荷状況を調査した。2009年度の予測も併せて調査、報告している。 <08/09年度 PCサーバ市場のポイント> ■08年度PCサーバ市場は、「極冷えの市況で、6年ぶりのマイナス成長」 −台数は対前年比2.7%ダウンで、535,487台 −金額市場は7.0%ダウンで台数以上に落ち込む ■仮想化、統合化はPCサーバ市場の再加速に及ばず。ただしブレードは二桁伸びる ■NECのトップ変わらず。HP、デルの外資系ベンダは市況の影響甚大でマイナス成長 ■09年度はトータルでマイナス成長も、後半から更新需要が動き出す見込み −統合・集約化と既存サーバの更新需要で10年度以降は増勢へ ◇対象期間 :(2008年度実績)2008年4月〜2009年3月 (2009年度予測)2009年4月〜2010年3月 ◇対象メーカ:電子情報技術産業協会(JEITA) 自主統計参加及び未参加メーカ 日本電気、富士通、デル、日本IBM、日本HP、日立製作所、東芝、三菱電機など ◇対象機種 :電子情報技術産業協会(JEITA)定義に準ずる ◇調査方法 :当該メーカに対する直接取材及び弊社データベースによる分析 ◇調査時期 :2009年5月 [2008年度出荷状況] −08年度PCサーバ市場は、「極冷えの市況で、6年ぶりのマイナス成長」− 08年度上期は267,900台と対前年比4.4%アップの微増だったが、一転して下期は8.9%のマイナスで、08年度では2.7%のマイナス成長となった。08年度後半、特に09年から年度末にかけての3ヶ月は近年まれに見る「極冷え」の市況であり、新規需要、更新需要ともに、業種を問わず停止状態になっており、最後の四半期は対前年比でマイナス13ポイントとなっている。この結果を受けて、08年度は535,487台となり、前年比97.3%とマイナス成長となった。特に深刻なのが製造業や流通、金融業などの一般民需であり、09年度に入ってもその「市況感」の低迷傾向が未だに続いている。 金額市場では、平均単価の低下と出荷台数の減少で大きく落ち込むことになった。対前年比93.0%で2,814億円となっている。全体的な価格低下というより、低価格のタワーサーバの実績が平均単価を下げている。 フォームファクターでは「ブレードサーバ」はまだ大きな割合を占めてはいないが、統合化、仮想化の需要を受けて61,598台で17.0%の成長率であった。全サーバ市場の11.5%を占めている。この伸びはさらに続くことは間違いない。タワー型サーバは、いまだに中堅・中小企業の基幹システム用途や専用業務用途で確実な需要があるため、一挙にタワー型サーバの需要が減少することはなさそうだ。 [2008年度メーカシェア] −NECのトップ変わらず。外資系ベンダは市況の影響甚大でマイナス成長− NECは唯一、前年対比でプラスになったベンダだ。シェアは27.0%のシェアで一位を保つ。製品ラインアップと販売チャネルなど、官公庁・自治体から流通業の大手案件やITサービス業向けのデータセンター需要、そして低価格サーバを医療関係などの動きの良い特定業界向けに幅広いチャネルを使って拡販することで、実績を残している。 2番手のHPは、「ブレードとラックそして低価格」という路線は変わらないが、下期は需要の低迷を大きく受けて、08年度は99.7%で前年割れとなった。特に大都市型で大企業に強味を持つ同社は08年度の後半から苦戦が続いている。また中堅・中小企業でのチャネル販売も低迷しており、シェアこそ24.2%と若干高めたが、NECには再度シェアを引き離された。 3番手以下はデル16.6%のシェアで一時の勢いがなくなっているが、多くのSI企業や中堅・中小企業の支持を受けて3番手のシェアをきっちりとキープしている。また富士通が14.8%のシェアで、積極的な施策で上昇の動きを見せている。特に下期以降では低価格サーバやチャネル見直しなどで、中堅・中小企業への深耕を展開している。IBMは金融や製造業といったエンタープライズ企業での大不振の影響を色濃く受けて、やはり前年対比で大きく下回っている。上位4社に比べ中堅・中小企業への展開で流通チャネルでの相対的な「非力さ」が目立った。 日立は対前年比73.6%と大きく実績を落としている。直販による大企業やグループ関連でのブレードやラック販売で展開しているが、シェアは4.2%と、上位グループとは大きく差をつけられている。民需の確保のために流通チャネルと競合製品との価格差をどう埋めるか、課題は多い。 [2009年度の市場展望] −09年度はトータルでマイナス成長も、後半から更新需要が動き出す見込み− 09年度PCサーバ市場は、国内市況の低迷は引き続いており、新規、更新需要ともに凍結に近い。特に民需にその影響が大きい。官公庁・自治体、文教などでの確定案件が支えになっている。ただし現状が「底うち状態」にあるという期待感もあり、下期は前年並みとなる通しだ。それでも09年度トータルではプラス成長は難しく、3%−5%でマイナスになりそうだ。 ただし統合・集約化の動きは確実に進んでおり、仮想化をキーテクノロジーとしたIT構築機運は一層高まってくるだろう。それに伴う高機能サーバ需要は大手企業を中心に進む。またSaaS、クラウドなどの新たなITインフラ作りも進んでいるため、ITサービス提供側のサーバ需要は確実に見込める。 また新たなCPU搭載のサーバやWindowsOSの新バージョンへの切り替えなどの更新需要が「ITデフレ」の中で、今が更新のチャンスということもあり、下期以降に手控えていたサーバのリプレース需要が立ち上がることに期待感は高い。10年度以降は再び増勢の見方もできよう。
製造業や流通業などという大雑把な括りではなく、IT市場でみた場合の国内ベンダの海外市場への展開の必然性や勝機について考えてみると、ビジネスコアの部分で果たして海外に進出する意味がどれだけあるかが疑わしい。
世界標準となった基本ソフトやミドルウェア、アプリケーションなどがほぼ確定した状態で、日本のベンダがグローバルスタンダードになった占領軍に伍していける隙間はほとんど残されていない。さらにそのつわものは「M&A」で敵対的な買収で肥大化しつつあり、多くの淘汰企業が散っていくことになる。 日本の市場では、そうは言っても1社で寡占的な市場となった瞬間はあるにしても、大体が「共棲」的な関係性で市場は成立していた。肉食系か草食系かの今流行のフローで考えても断然「草食」的な性向を示している。日本には肉食的な企業は馴染まない。 既成の標準に従って「小技」で生きるには、今の世界市場は日本のITベンダにとって最適ではないはずだ。むしろ国内の停滞感の強い市場で、ユーザオリエンテッドな視点で、「共棲」関係をもとにした、「日本の企業を助ける、良くする」ための戦略が、そして視点が欲しい。
中堅・中小企業=SMBと極めて大雑把に論じているベンダやメディア関係者はそれで大丈夫なのか、と思わざるをえない。定義からして曖昧で、中堅・中小企業の上限と下限をそもそも一緒にしていいのか?ノークリサーチでは中堅・中小企業を年商区分で大きく5億円から500億円までを中堅・中小企業の範囲と捉えている。さらに年商区分を中小企業クラス=5億円-50億円、中堅Lクラス=50億円-100億円、中堅Mクラス=100億円-300億円、中堅Hクラス=300億円-500億円の4タイプに区分している。実はこの4区分で全く違う「IT導入、活用指向性」を持っているので、「中堅・中小企業では〜」式にはとても言えない。ましてや年商5億円以下の企業は、企業数からいえば、日本の企業数の9割以上を占めている、最大のボリュームゾーンだが、「未開拓ゾーン」か「無視されている」ともいえる零細・SOHOクラスでもある。何をもって、中堅・中小企業であって、そこにどのような提案をするか、というのは「エンタープライズでの成功事例の安物、お手軽版」を持ってきても成功するはずがない。企業規模に関わらず、本質的に企業の課題や実現したいことは変わらない。「中堅・中小企業は狙い目だ、拡大する」式の訳の分からない物言いには信頼性が薄いと言わざるを得ない。「中堅・中小企業」にはそのクラス視点でのITソリューションや提案、製品が必要なことは言わずもがなである。
中堅・中小企業におけるPCサーバの導入実態を1168社のアンケート回収票をもとに、詳細に分析した結果をノークリサーチで発表させていただいた。ご参考になれば幸いである。
############################# ● 基幹系用途で依然強みを発揮する富士通とNEC ● 認証管理システム用途は新規導入が期待できる数少ない分野の一つ ● 依然として残るシングルコアサーバ、マルチコアへの切り替え促進策が必要 ● 2002年以前に導入されたレガシー資産のマイグレーションが大きな課題 − 基幹系用途で依然強みを発揮する富士通とNEC 基幹系業務システム用途では、NECや富士通といった国産ベンダが依然として強みを発揮しており、オフコン時代に培った顧客基盤の多くがPCサーバ市場にも受け継がれている状況が改めて確認できる。日本IBMと日本HPも基幹系システムへの導入事例を徐々に増やしてはいるが、全体傾向に現れるほどの大きな変化にはまだ至っていない。価格面で攻勢を続けるデルに関してはファイルサーバなどの非ミッションクリティカルな用途での利用が比較的多く、基幹系業務システムや社外システムといった用途での比率はまだ低い。 −認証管理システム用途は新規導入が期待できる数少ない分野の一つ サーバの用途毎にサーバの購入先及び導入年がどのような傾向を示すか。基幹系業務システム/ 顧客管理系システム/ データベース利用といった用途では、システムインテグレーションを伴うことが比較的多い。そのため、サーバ購入先ではシステム開発を主体とした販社やSIerの占める割合が高くなっている。一方、社内情報構築システム/ 基本情報インフラ/ 部門内利用といった用途ではその逆の傾向を示している。これらの用途は基幹系業務システムの付加的要素として導入されてきた経緯もあるため、ベンダ系の販社やSIer経由での購入が占める割合が若干ではあるが高くなっている。認証管理システムは比較的導入された時期が新しい用途であるため、システムインテグレーションはあまり伴わないにも関わらず、非ベンダ系の販社やSIerを通じた購入が比較的多い。つまり、ベンダ色がまだ強くない用途ということができる。セキュリティ対策を必要とする中堅・中小企業がOS付属の認証管理システムを活用するなどのニーズを喚起すれば、新規のサーバ導入へ結び付けられる可能性がある。 − 依然として残るシングルコアサーバ、マルチコアへの切り替え促進策が必要 新規のサーバに搭載されるCPUはマルチコア化が進んでいるが、ユーザ企業で導入されているサーバではシングルコアがまだ多い状況である。中堅・中小企業が利用する業務アプリケーションにはマルチコアのメリットを享受できるものがまだ少なく、ユーザの導入意向を尋ねた結果においてもマルチコアに対するニーズは高いとはいえない。サーバベンダとしては仮想化など、マルチコアのメリットが十分生きてくるソリューションを訴求していくことが求められる。 サーバ形状に関してはブレードの伸び率がやや鈍化してきている。ラック型の搭載可能CPUコア数が増え、仮想化用途に用いられるケースも増えたことや、SIerはベンダ依存度の低いラック型を好む傾向にあるといった今回の調査結果以外からも得られる各種の情報を加味すると、今後ブレードとラック型の伸び率は同程度になると予想される。 − 2002年以前に導入されたレガシー資産のマイグレーションが大きな課題 2002年以前に導入されたWindows NT Serverを主なOSとするレガシー資産が前回2007年調査に引き続き、大きな課題として残っている。2008年後半に本格的な普及が始まると予想されるWindows Server 2008には仮想化ハイパバイザである「Hyper-V」が搭載されるが、Windows NT Serverはサポート対象外となっている。また、2002年以前に導入されたサーバで利用されているOSには独自OSも多く、その多くはメインフレームやオフコンであると推測される。 こうしたレガシー資産を移行させることは容易ではないが、仮想化技術の普及によってハードルは従来よりも下がりつつある。サーバベンダとしてはヴイエムウェアやシトリックス・システムズ・ジャパンといった仮想化ベンダとの協業も含め、ユーザ企業が無理なく実施できるレガシー資産のマイグレーション手段を検討する時期に差し掛かっていると考えられる。
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