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5タイプの「ダメ上司」が与えるITへの影響
新しい上司とのつきあいもそろそろワンクール目が終了といったところだろうか。周囲のうわさなどに惑わされず、自分の目でしっかりと人柄を見極めたいところ。上司の思考タイプを見分けておくことは決して無駄にはならない。
ダメ上司の例外事項 「ダメ上司」はどこの世界にもいるものである。ここで取り上げるダメ上司とは、部下から見てダメな上司で、部下を平気でスポイルし、そのため部下から嫌われる上司を指す。 ダメ上司の問題とは、日常業務、ひいてはIT導入・経営方針遂行の中で障害になっているのに、企業は彼らを任用し続けているということだ。その結果ダメ上司は部下にとって迷惑なだけでなく、企業にとってもマイナス要因として働く。 ただし、「できる上司」を「お荷物の部下」がダメだと思ったからといってダメ上司の対象にはならない。自分の至らなさには寛大で、上司の前ではおとなしくしておいて、本人のいないところで悪口三昧、すべてはあの上司のせいだなどと放言してはばからないタイプの部下はただの「ダメ部下」だ。ただし、同じ「ダメ」でも「ダメ部下」の場合は上司の権限で何とか打つ手はあるが、ダメ上司の場合は部下から打つ手は限られる。 だからダメ上司は問題視される。部下から見て一見ダメ上司でも、会社にとって「良い上司」の場合がある。もし本当の意味でそうであるなら、その場合部下は押しなべて心底では評価しているもので、ダメ上司に当てはまらない。1人や2人のダメ部下があれこれ言おうと、良い部分、悪い部分を冷静に見ている人間の判断がそれらを打ち消すものだ。
ダメ上司は、筆者の経験や識者の意見からいくつかのタイプに分けられる。ダメで嫌な上司は、性格が悪いか仕事ができないかだ。そこから主に「自己保身型」「ヒラメ型」「ゴーイングマイウエイ型」、そして「昼行灯型」「重箱の隅型」に分類される。いずれも特徴が重複する部分はあるが、身近に思い当たる上司は少なくないだろう。 それぞれのタイプについて実例で分析し、ITに対する影響も考慮しながら対応を考えよう。 責任回避が巧みな「自己保身型」 「自己保身型」は、自分の身の安全確保がすべての価値判断基準となる。部下の成果は自分の成果、一方で責任回避も巧みだ。A情報機器メーカーのB営業部長は、顧客情報が重要であればあるほど自分で抱え込んで、決して公開したり共有したりしなかった。 A社は自社開発でCRMを導入していたが、ほとんど機能していなかった。その大きな原因の1つが、重要情報を個人が抱え込んで共有されなかったことで、Bはその典型だった。このタイプは、自分の存在価値を高めるのが目的で情報を占有するから、何を言っても自分の考えを修正せず、死守する。 A社のCIOは思案の末BをCRM活性化の責任者に任命し、その成果もBの評価項目に入れた。一転、Bは個人情報占有の風土を持つ社内の改革に、本気で取り組み始めた。 意外に多い「重箱の隅型」 「ヒラメ型」は常に上司の顔色をうかがい、上司の考えや指示がすべてだ。自分の考えがないから、言動がコロコロ変わる。部下の面倒見も悪く、部下の心の痛みなど無関心だ。 C大手企業のD事業部長は、トップからの指示や報告については異常な関心を示すが、それ以外は上の空だ。C社は一昨年から1年間、ERPパッケージソフトを導入して「経営の見える化とスピードアップ」を目指して全社的にプロジェクトを展開した。プロジェクト発足当初はトップの方針が出されたり役員会で話題になったりしたため、Dはプロジェクトの進度チェックをきめ細かく行った。 しかし時間の経過とともにプロジェクトがトップや役員会の話題にならなくなると、Dは途端にプロジェクトへの関心を失った。このタイプは上から言ってもらうしかないが、上に頼むのも容易でない。「トップの方針に則り」を枕詞にして攻めるか、こちらで勝手に進めてシステム構築そのものにやり甲斐を見出すしかない。 部下を私兵化する「ゴーイングマイウエイ型」 「ゴーイングマイウエイ型」は、独善的で部下への思いやりや気配りがなく、部下を私兵化する。ITでも何でも、こちらが勝手に進めても干渉しないので、どんどん進めたらよい。その代わり報告だけはこまめにするべきだし、最後は責任を取る覚悟が必要だ。 リーダーシップの欠如は「昼行灯型」 「昼行灯型」は、問題意識もなくリーダーシップもとれない、現状破壊などまるでできないタイプだ。大体はお人好しで、ある会社の本社から工場に転勤してきたE課長はその典型だった。いつもニコニコ、一切の指示もしなければ決定もしない。その穴埋めでもするかのように、行事があると大枚の寄付をするのが常だった。 代わって力のある係長がリーダーシップを取った。教育しろとかいさめろという説もあるが、時間の無駄だ。こちらの思うようにリーダーシップを取ってドンドン進めるのがよい。ただし、報告は忘れずにするべきだ。 意外に多い「重箱の隅型」 「重箱の隅型」は、意外に多い。例えばメーカーでは技術屋が管理職につくせいか、重箱の隅を突くように細かいことにこだわるタイプが少なくない。先見性や大局観に乏しい。 ネットワークシステム構築のうかがいに対して、サーバ容量や伝送速度、パソコンの詳細なスペック、はてはパソコン重量まで微細にチェックされたが、システム構築の基本的考え方や経営方針との関連などについて一切問われなかった苦い経験がある。このタイプには、鍛えられていると考えて辛抱するしかない。でないと、些細なことで計画を没にさせられる。 ぶれない強さが武器 一方、「ダメ上司」に対する個々の対応もさることながら、共通する基本的対応を考えておく必要がある。まず自分の考え方を明確に持ってアイデンティティを確立し、基本はぶれないようにしなければならない。そのためには自己を磨く必要がある。 次に自分の上司がどういう思考タイプか、見分けておくことは無駄ではない。 米GEのネッド・ハーマンが、ノーベル賞受賞者の大脳生理学理論を基に構築した「ハーマンモデル」がある。人間の思考を、脳の4カ所からパターン分けする。左大脳は論理的、右大脳は直感的、辺縁系左は管理的、辺縁系右は感情的に、それぞれ思考する。どこが優位脳であるかで、その人のタイプが決まるという説である。 その上で「上司を乗り越える」のである。積極的対応として(1)上司をコントロールする、(2)試練として捉えて実力をつける機会にする。消極的対応として(3)反面教師にする、(4)上司と思わず、顧客や市場を、あるいは仕事そのものを相手にする、(5)敵だけにはしない(敵にして得なことは一切ない。このことを筆者は経験上痛感している)、(6)できることなら相手に合わせる、そして腹心となる(これは非常に難しいが、達観して相手に合わせて腹心になれば、自分のアイデンティティを通せるチャンスもあろう)。 これらのアドバイスは、「ダメ部下」ではない人、「ダメ部下」にならないよう日々、謙虚に努力している人にのみ有効だということも付け加えておきたい。ここまで紹介したタイプの性質はほとんどの人が多かれ少なかれ持っている特質だ。上司の欠点と思われる部分を冷静に受け止め、いたずらに批判に終始するのではなく、自分自身のダメぶりをチェックすることも大切。「ダメ上司」は真実を映し出す鏡、ともいえるのだ。 文=増岡直二郎 関連記事 「ワンページ運動」で始める書類削減 それでいいのか? 業績低迷でも書類作成ばかりに燃える組織 書類の海に溺れる組織――分厚い会議資料が示す注意信号 有能な議長とITが「うんざり会議」を変える 「無意味だ」と言いながら、どうして会議の改善をしないのか 「どうして頑張るの?」に答えられるか コメント
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